2013年2月22日金曜日

ACROSS THE UNIVERSE*


旅先の最後の記事になります。今まで読んでいただいて本当にありがとうございました。

たくさんの人に見てもらいたかった僕の気持ちもあったけれども、

僕の奥底では少ない人にだけでもいいから何か残る言葉を紡ぎたい、という気持ちが強かったみたいです。

正解はどちらを選ぶかではなく、選んだ選択肢を信じ続ける事でした。




砂漠の街メルズーガを背にして、マラケシュへと向かうことにした。

砂漠を出る頃になって、砂漠の空は荒れに荒れた。

いつもは宿の屋上から眺められる砂漠の景色は、その姿を砂嵐の中に隠してしまった。

最後に砂漠に挨拶して帰りたいという願いは、どうやら叶いそうにない。

砂漠の砂のオレンジと空のどこまでも青い、色のコントラスト。

それは時間の経過とともに、暗闇の色に向かってひとつになっていく。

星空の時間、夜空もそう簡単に一気に満点の星空を見せてくれるわけではない。

でもその待ちこがれる時間が、星空をいっそう特別に輝いて見えるようにさせる。



砂漠は本当に本当に魅力の尽きない場所だった。

「また来るよ、きっと。」

砂嵐で顔を隠す砂漠に向かって、僕はもしかしたら嘘をついたのかもしれない。

守れる確信のない、無責任な約束をしてしまった。

そしてそれは初めてのことじゃないことも知りながら。

これだけは、反省してもその答えがどうしても見つからないから、どうか許してください。


12時間のバスの行程、僕の乗ったバスはなんと29時間かけて目的地に到着した。

悪天候によって、夜中に越えるはずの3000m級のアトラス山脈を越えられず待ちぼうけ。

はじめのうちは、当てどころのない不満をどう処理するかに苦心したけど、

それもアトラス山脈の大自然がその圧倒的な景色で僕の心を落ち着かせた。

前の座席の隙間からこちらの様子をうかがう子供と視線だけの会話を楽しむ。


前日の悪天候は、モロッコの高地に珍しい雪を降らせたようだった。

アトラス山脈の場合は力を抜くと吹き飛ばされそうな横風。

それでも、バスが進めない状況を楽しむモロッコ人たち。

遠くでおしっこをしようとする男性・・・その後の悲劇は、想像にお任せしたい。

通常通りであるならば、夜に越えるはずのこの山の景色は僕の記憶になるはずもなかった。

でも僕の巡り合わせはこうなった。その中でも珍しくて美しい景色に出会えたのかもしれない。

それを契機に"ないものではなく、あるもの"に感謝して、僕はもう焦るのをやめた。

そして肩の力をそっと緩めて、また固いバスの座席に深く腰掛けた。


マラケシュにはあまりにも遅く到着した。夜も22時を回っている。

待ち合わせしていた旅仲間も僕を心配してくれていた。

合流出来たときの安心感は、きっと旅でそういう経験をした人か、

小さな迷子の子供にしかわからないはず。

それもひとつの旅の醍醐味。ただそうならないに越したことはない。


有名なフナ広場はエネルギーに満ちた場所だった。

果実を充分に絞ってくれたオレンジジュースが忘れられない味。あ、羊の脳みそ、エスカルゴもそう。

蛇使い、猿使い、民族毎に分かれた色とりどりの衣装にリズミカルな音楽。

日本の夏祭りの雰囲気が感じられるのは、子供心を誘うような単純なゲームもあるからだろう。

ヘナを手に描いてもらう欧米人の女性、一風見慣れないようなモロッコの食べ物に食い付く観光客。

ヒッピーは安宿で雑魚寝で寝れば、音楽を奏でてその宿の雰囲気に色合いをくれる。

いろんなものが集まって、ごちゃ混ぜで騒々しいけどそれがフナ広場。決して悪くない。


マラケシュのスークは迷ってはしまうけど、歩きやすいことこの上ない。

観光客の目の輝きに合わせて、一瞬でふっかける値段を決めてくる気だけはいい店の主人たち。

値切りの腕に自信がある人は、ここが間違いなく聖地。(個人的にはブックカバーがおすすめ)

マラケシュでの時間はサハラ砂漠で出会った人たちまた笑いの絶えない時間を過ごした。

そう言ってしまえばどこか内輪な雰囲気にも聞こえるけども、

僕らの会話の中にはいつもと言っていいほどに現地の人や諸外国の人との関わりがあった。

それは僕がどうしたから、とはいえなくて、一緒に旅した先輩たちがどんどん切り開いていく。

英語以上に、コミュニケーション能力が人と人の心を通わせるのを何度も目にして僕は考えさせられた。



マラケシュでその仲間とも別れが来て、僕ともうひとりの方で海の街エッサウィラへ。

もうふたりはそれぞれの予定された旅路に戻った。

顧みれば、僕ら4人は砂漠に導かれるようにして、予定を変えて集まった旅人だった。

旅ってそういうところが、心底不思議だ。

それが今度はどういった芽を、どこで出すのか、楽しみにしたい。

別れはそう捉えると、気持ちを少しの間だけ騙すことが出来る。


海の街、芸術の街、音楽の街、さまざまな顔を持つエッサウィラ。

水が地下の奥底に隠された砂漠から、サーフィンに適しているよく荒れた波が踊る海まで移動してきた。

潮風のにおいを懐かしく感じて、それに乗ってくる魚の少し生臭い香りもいい意味でお腹を刺激する。

そう、この街は海鮮が安くて有名だし、もちろんそれも目当て。


海辺にも街の空にもたくさんのカモメが自由に飛び回る。白がとても青空に映える。

お目当てがあるわけでもない小さな街をカモメのまねしてふらふらと歩き回る。

時間を持て余すかという心配は、約10歳も年齢の離れた人生の先輩の問いかけで必要なくなる。

時間の概念から離れて、考えること、ふたりで語り合うことに意識を傾ける。

人間みんなに必要な時間。つまり、自分と向き合うこと。

自分より人生経験が豊富な人間の、僕というひとりだけの為に向けられた問いかけは、本当に貴重だ。

逃げ場を塞がれ、追い込まれるように自分の気持ちと向き合うことになる。

その機会をも簡単に捨ててしまうのであれば、その人はいつちゃんと自分に向き合うのか?

同世代同士でも語り合うことに意味はある。

でもその多くは"共感"で終わってしまうことが多い気がする。

辛さ、不安、将来というものをどう具体的に噛み砕くかは脇に置かれたまま話が流れてしまう。

それとは違い、人生で自分にはない経験を積んだ大人の方との話しあいは僕らに"教訓"をくれる。

もちろんすべての大人ではないし、語られた教訓が正しいか、自分が受け入れるかに答えはない。

ただ前にも言ったようにその機会は決して多くはなくて、大切にするべきだと思う。

僕は問いかけられた時、どんな言葉で表現しようか苦心する。

言い訳のような言葉を並べたところで、「じゃあ、どうするの?」その言葉が胸をえぐる。

うまく答えられなかったことなんて数えきれない。でも、繰り返すしかない。

空いた時間にふと記憶を取り出して、また考えなおす余裕が旅にはあるから。

いつか自分が社会経験を重ねた立派な大人としてまた旅が出来た時には、

僕なりの経験から導いた考えを持って、問いかけをしてあげる立場になる。そう決めた。


もちろん、今の僕らにだって出来ることはある。

学生らしいシンプルな問いかけが、タイミングによって大人の心の鍵になることもあるのだから。


大西洋はなかなか気性が荒いように僕の目には見えた。

波がブロックに当たって砕けて、豪快なしぶきをあげる。


ふと思いついたこと。

ブロックは今の大人、これからの僕らみたいな若者に例えられるかもしれない。 

社会を支える大人がブロックで、防波堤は守るべき社会の外枠。僕らはきっとまだブロックの予備。

時代の潮流、押し寄せる波に耐えて翻弄されないためにも、ただ世界の流れをそのまま社会に入れずに、

日本社会に入ってくる前にフィルターをかける役目が必要だ。

どんな形で受け入れるのかを、積極的に僕らの意志で決めること。

防波堤の内側が、つまりは社会が安心できる場所であり続けさせる為にも。

でも実際の僕ら多くの若者は、そうするべきなのにその逆に甘えているのかもしれない。

社会という防波堤の内側で社会にただ守られて不平不満をこぼしてばかりかもしれない。

ずっとそうではいられない。大切なものが削られていくのを恐れて見てるだけは嫌だ。

ただもし僕がブロックの役割になったとしてもひとりでは防ぎきれない波がきっとある。

そのためには、僕の短所を助けてくれる人の存在も必要になる。

ブロックの形にも意味がある。

ブロックひとつで波を防げるわけではないのとおなじように。


ここエッサウィラは僕の冒険の最後の街になった。

旅の最後の街とは別だけども、未知の土地に自分で足を踏み入れるのはここが最後と言っていい。

後は来た街を少し戻り、飛行機に乗って親戚の待つアメリカ、ニューヨークに行くだけだから。


「僕の旅はここで終わりか。」


ふと海を見ながら口からこぼれたその僕の言葉が残した余韻は、

旅が終わるのを悲しむというよりは、自分の旅にある分の満足を含んだように聞こえた。

旅に限界なんてないし、満足もない。いい意味でも、悪い意味でもそれを作り出すのは自分自身。

僕は真っ暗闇の未知の先に掲げた目標を達成出来たと思えるからこその僕の満足だと思ってる。

自分を見つめて正直に言葉を紡いだこと。怖くても意見を述べたこと。

自分のコンプレックスを打ち明けれるようになったこと。

旅の中に自分の考え方の変化を見てきた。

そして、ひとつづつ小さな自信を積み重ねてきたから、今の自分がいる。

僕は自分しか出来ない、自分らしい、自分の望む旅が出来たと思ってるよ。


タイから初めて5ヶ月の旅でした。

東南アジアのゆったりとした雰囲気に癒された自分。

インドでの強烈で思い出深く、どこか優しい不思議な経験の数々。

イスラム諸国の僕の知らなかった空気、僕の緊張感。

本物の歴史あるクリスマスマーケットの装飾に目を奪われたドイツ。

盗難で旅の終わりを見せられ、でもそこから立ち直って、思いっきり楽しめたスウェーデン。

あたたかい日差し、羊とオリーブの山々が忘れられないスペインのアンダルシア。

思い入れ深い国になった砂漠を持つモロッコ。

親日な人も、そうでない人からもたくさんの優しさをもらった。


NYは高いビルに囲まれたマンハッタンの街をぶらぶら歩く。

人種が混ざりに混じったニューヨーク。すれ違う人の認識に僕は少しも残りはしないだろう。

僕が世界一周の旅をしてきたことなんて道行く人は誰も知らないし気にしないけれども、

それはたしかに現実のことで、僕のなかに大事にあるもの。

大事なものは目には見えないって知ってるからこれでいいんだ。


ニューヨークの地下鉄にあって気になった絵。あたたかく、ニューヨークが表現されていた。

治安が悪いと言われていたニューヨークの地下鉄はいまはこんな感じです。

そして僕はここに描かれている人たちと出会い、言葉や気持ちを交わしてきた。

そんな僕がここにいる。

大学入学当初の僕が目の前にいても、今の自分を自分とは信じないと思う。

それは僕の成長の証ってことでいいよね。




僕、世界一周してきました。そして、無事に帰ってきました。

ただいま、日本。世界で一番最高な僕の国。


ありがとうございました。

あとは気ままに自分にとって旅とはなんだったかを振り返りたいと思います。

2013年2月6日水曜日

世界一周をムーブメントに。


いつかは行こうと思って、わくわくして買ったあの国のガイドブック。

忙しいふりをして、行けたはずなのに代り映えのない日々を過ごして、

知らず知らずに旅に出たい気持ちをどこかに追いやっていた自分がいなかっただろうか?


旅に出れば気づく。


ガイドブックすらいらなかったんだ。

楽しい事はガイドブックに載ってないことばっかりだった。

そうしてよく口にされる言葉がある。

「もっと早く旅に出れば良かった。もっと早く旅を知りたかった。」


それでもまだ悩む人がいたら、この方がそんな悩みをふっと軽くしてくれるだろう。

多くの旅人の背中を押した本"LOVE&PEACE"の著者、高橋歩さん。

旅が教えてくれること、旅から学べる事はひとそれぞれで数字にも言葉にもし難い。

人それぞれ、学び方は違うのだから旅を押し付ける事もできない。

ただ、どうか旅好きが胸を躍らせる瞬間を感じていただきたい。

旅を通じて人生をはつらつと生きる大人、これから旅に出て世界を感じようとする若者。

その人たちが放つ熱い気持ちを共有してもらいたい。旅以外のなにかの力にもなるはずだから。


言葉だけじゃない。

来ていただけた方には旅への一歩を踏み出したくなるような景品があたるチャンスがある。

過去には一眼レフ、バックパック、10万円分航空券などの豪華景品が旅を夢見た誰かの手に渡った。

当選した人には、"旅にでない事"を諦めてほしい。

それくらいのワクワクとドキドキを届けるから。


高城さんと旅がイメージとして結びつかない人も多いと思う。

でもこの方のTwitterで流れるツイートを見ていただければ、

旅に関する独自の考えやその幅、深さに惹き込まれるお話が聞けると期待出来る。


僕自身が2011年、9月に企画されたイベントでイベント準備に携わった。

来場者ほぼ満員の2000人が会場を埋めた前回のイベントの興奮を今回もきっと再現してくれる。

あの時、「世界一周をムーブメントにしたい。」とスタッフになった僕はいま、

この記事をロサンゼルスの空港で書いている、世界一周者のひとりになった。


帰国を間近にした僕が旅をしてきたこの5ヶ月間、たくさんの旅人に出会ってきた。

その中に僕らが企画した前回のイベントに、心動かされ、いても立ってもいられなくなって、

"世界一周"に出た同世代の旅人にだって何人か出会えた。

それが何より僕らの起こした行動の成果を感じた瞬間だった。


僕も世界一周に旅立つ前に、旅の事、旅の後の事、たくさん悩んだ。

そんな時、TABIPPOの世界一周をした先輩たちがくれた言葉は、

「とりあえず、世界一周してきなよ。その後に見えるものがあるから。」


まさに、その通りだった。

どんなに旅に出る前に考えたって辿り着けない場所があった。

旅に出て、"世界一周"という言葉が持つ"薄っぺらさと深さ"を理解出来た。

その感覚を手にして初めて、世界一周を批判も評価も出来る。

そうして多くの世界一周していない人の、"世界一周"に対する評価に振り回されなくなった。

だから、今は前よりも胸を張ってこの魅力を伝えられる。

たくさんの若者、社会にこの想いが伝わりますように。


以下、告知分の引用です。申し込み等の詳細ははこちらからどうぞ!
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過去2回、計3000人の観客を感動の渦に巻き込んだあの旅イベントが帰ってきた!!

ゲストには世界中を飛び回る映像作家・DJで大活躍の高城剛さんと、

家族を連れて世界を旅する、自由人高橋歩さんの豪華メンバーが出演決定!

「TABIPPO2013〜ガイドブックの向こう側〜」

特設webサイトはこちら http://bit.ly/V8ZcWx
みなさん「旅」と聞いて何を想像しますか?

それはきっとガイドブックの中にある景色だったり、世界遺産だったりする。

でも、旅の本当の魅力はガイドブックからだけじゃ分からない。

今、あなたの好奇心にまかせた世界への一歩を踏み出しませんか?
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【日時】2013年2月13日(水)16:00〜19:30(15:00開場)

【場所】中野サンプラザホール 

(中野駅北口より徒歩1分 東京都中野区中野4-1-4) 
http://www.sunplaza.jp/access/
【料金】2000円

【コンテンツ】 

 ▼豪華ゲストによるスペシャルトークライブは、
映像作家・DJの高城剛さんと自由人高橋歩さん!
 ▼旅の魅力を学生目線で伝える「TABIPPOカレッジ」 

 ▼世界一周が実現するコンテスト「wizTABIPPO」決勝プレゼン 

 ▼300人に豪華景品が当たる「冬のジャンボ旅っくじ」

詳細はこちら 特設webサイト →http://bit.ly/V8ZcWx

お申し込みはこちら 申し込みフォーム→http://bit.ly/VaqBLn
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イベントを通して「楽しいだけじゃない、旅の魅力」をお伝え致します。

みなさまのご来場、心よりお待ちしております。

主催:世界一周団体TABIPPO

お問い合わせ:tabippo2013@gmail.com

世界一周団体TABIPPO

砂漠の上、星空の下。

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夜に満点の空が広がるであろう砂漠に向けて、これから旅立つ。

頼りになるのがそうこのラクダ。

お尻がさらに割れそうになるとか、内股がつりそうになるとか悪評の絶えないラクダツアー。

僕のラクダは頼りになりそうだろうか?


なかなか凛々しい顔立ち・・・とはお世辞にも言えないけれども、こいつが僕の相棒。

思ったよりもしっかりと備え付けられた鞍。

「いざ、目の前の砂漠に突き進め!」と気持ちだけ高揚したけど、ラクダの歩みの遅さに

あえなくその気持ちは砕かれ、砂漠の沈黙に浸ることになった。


人間は砂漠に来ると、その広大さの前に無言になる。

それは砂漠を通して、人間が、自分自身がいかにちっぽけかを痛感させられるから。

アフリカ大陸を横切るようにして広がるサハラ砂漠。

その北には地中海性気候の土地に、征服者としてやってきたアラビア人の文化が広がり、

砂漠の中には、それとは別にベルベル人という砂漠の民がいる。

そしてサハラ以南には"ブラックアフリカ"といわれる黒人や多様な動植物が暮らす豊かな土地がある。

アフリカだって多様なんだ。


果てしないように続く砂漠の起伏。ゆっくりと進む僕らの列。

その昔、キャラバンはこの砂漠を越えていったらしい。

砂漠にどっぷりと浸かり、命の危険を背負ったその当時の旅はどんなものだったのだろう。

裸足になってみると、そのきめ細かい砂を踏みしめる感覚きっと忘れられなくなる。

走り出したくなる、高い山に登りたくなる。意外と簡単に登れてしまう。

乾燥した砂漠に強かに生える植物。いきなり現れる井戸。

砂漠が井戸を隠し持っているというのは本当だったんだ。


夏の砂漠は日中の気温が50℃にもなるのに、冬の砂漠は日中でも20℃程度。夜は5℃くらいまで冷え込む。

夕陽を地平線の彼方に見送った反対側の地平線には、少しづつ夜の主役が姿を現してくる。

その主役が夜空いっぱいに広がるまで、砂漠のテントにはいって食事をとる。

今回のツアーの仲間としばしの談笑。

思い出に深く残るであろうこれからの体験の前に、モロッコでは手に入れにくいお酒で乾杯。


夜空に星が広がってくる。日中も、夜も、砂漠は本当に魅力が尽きない。

首が痛くなるまで見上げれば、疲れて砂漠に寝転ぶ。

いま目にする光は星が何光年も前に輝いた瞬間の光。

もうなくなってしまった星もあるかもしれなくて、また新しい星もうまれてるのかもしれない。

いま空を横切った流れ星が放っていた光もあるのかもしれない。もう願い事かけ放題。




夜空の満点の星もそれぞれも綺麗だけど、他の星から観たらきっと地球もすごいんだろうな。

みんな地球に負けないように、競い合って綺麗に光ってるのかな。

どこかから見ているなら教えてください、星の王子さま。



気がつけば時計が27時になるまで、僕とおない年の大学生3人組は一緒に星を眺めた。

「夜は夜明け前が一番暗くなる。」

星が夜空を隙間なく埋め尽くす。ひとりだと神秘的に感じたり、孤独に感じたり、そんな不思議な感じ。

この星をバックパックに詰め込んで持ち帰りたいけど、独り占めはよくないね。

衝動買いだけど、砂漠民の衣装ジェラバも砂漠にはよく映えた。


それぞれの想いを抱えて、それぞれの長い旅路を来て、ここまで大学生でも来れるんだ。

こんな景色に出会える。

こんな風にバカだって出来る。

これ、ドラえもんね。


代り映えしなかった日常なんて、旅に踏み出せば一気に変わり、変えられる。


ある時、決して悪い人ではないのだけれども、

「もう若くないからね。」「ああ、していればよかった。」と

口癖のように言う大人と旅の話をした事がある。

「そんな人に旅に出てみてください。なにか変わりますから。」なんて軽くは言えない。

そしてそのとき、旅に関してではないところで僕はその人をひどく不憫に思った。

「あれもやってみたけど、なにか自分にはあわなかったんだよね。」

「あれをやろうと思った事は何度もあるんだけどね。。。」

口から次々と言い訳のような言葉が並んで出てくる。聞いている僕も辛くなる。

その人はまるで新しいものごとに触れる機会を恐れているようだった。


そんな風な大人に自分は絶対なりたくないから、

僕はここまで新しい一歩を踏み出し続けたこの旅の自分の気持ちを大切にする。




旅先の土地の記事も次でラスト。

今日も読んでいただいてありがとうございました。
読んでくれる人のこころになにか残せるように言葉を探します。
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行き方、場所などブログには詳しく書きませんので知りたいことがありましたら気軽にコメントしてください。できる限り力になります。
帰国したら会えたりできる関係も作ることがひとつの夢です。

2013年2月3日日曜日

ひとりじゃできないこと。

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スペインからジブラルタル海峡をフェリーで渡って、モロッコに入国する。

僕のなかでこの国は来る前から思い入れ深い国になっていた。

僕が大事にしていた本であり、ここまで導いてくれた本である"アルケミスト"の舞台。

神秘的なサハラ砂漠が訪れる人を幾度となく魅了してきていた土地。

南米を行かない事に決めた僕にとって、この国が僕の冒険の旅の最終目的地にいつしかなっていた。

"ここに行けばなにかがある"

みなさんはそんな場所を信じるだろうか?

僕はどうだろうか。はっきり言い切れる答えはまだない。

ただ僕にとってモロッコは"ここに行ってなにかを決めよう"という土地だと感じていた。

何があるか、誰がいるのか、面白いのか、つまらないのか。


そんなことは関係なくて、すべては自分次第。この旅で大きく自分に刻み込んだ言葉だ。



フェズという大きな迷宮のようなメディナ(旧市街)を持つ街に2日滞在した後、目的地の砂漠の街へ到着した。

朝早く着き、まだ暗かった辺りの様子も次第に朝日がのぼるにつれて見えてくる。

土壁造りの家々の姿が見えてきた後に、オアシスが見え、その奥に砂漠の山並みが見えた。

ゆっくり今僕は砂漠の目の前にいるんだ、という気持ちを噛み締めた。

そしてここまでしてきた旅の瞬間瞬間の風景を走馬灯のように思い巡って、自分を少し褒めた。



お世話になったのは"Wildness Lodge"。かつてのノリコハウス。



オーナーのオマール。気ままに、でもしっかりと気遣いをしてくれる砂漠の男。

ここでは本当に素敵な出会いに恵まれて、僕にとって大切なところなった。

今までの出会いも等しく素敵で、嬉しいものに違いはなかったけれども、

僕の最後の冒険の国での出会いは、いつも以上に感謝したい、出会うべくして会えた人たちだなと感じた。

 スポーツに仕事と幅広い人生経験を持つ戸島さん。

僕が宿で一番先に出会えたのが戸島さんで、宿に着いたばかりで慣れない僕にいち早く気遣ってくれた。

大人としての責任感、誰にでも等しく使ってくれる思いやり、場が温かい雰囲気になるユーモア。

その3つが自然に成り立っていて多くの学べる事があったし、とても近くに感じるのに尊敬できる方だった。

社会で立派に働いていたにも関わらず、人生をより楽しむために旅に出た仙人、こーたさん。

たくさんのお話を重ねて見えてきたものは、経験からつくりあげてきたこーたさんの考え方の"ものさし"。

僕も一緒になって、いろんなことを考えさせてもらい、その"ものさし"を交換した。

はじめて寝起きに会った時は、「あかん!」と思ったのは秘密です。


 他にも砂漠の魔女ちひろさんやおない年のたっくん。この4人と出会えて、その輪の中に入れた事は大きかった。

みんなで過ごす時間は、いつも笑いに溢れて密度の濃い時間だった。

本来ならお金持ちのイメージの強い日本人が、人数の多い事をいい事に強気で驚かせる程の値引き交渉。

ちょっとしたハプニング、些細な出来事もみんなの笑顔と思い出に変わっていく。


 ふと思えば、僕はこの旅で旅人が集まってするグループ行動のようなものをほとんどして来なかった。

移動はいつも自分のタイミングを守ったせいか、誰かと一緒に都市を移動して旅した経験も少ない。

それはブログの縛りでもあったし、ヨーロッパでは現地の友達にお世話になっていたからでもある。

だから、サハラ砂漠に到着した朝にいきなり誘われてみんなでショッピングしたことから、

なんでもかんでも時間を共有して過ごしたみんなとの時間は僕にとって新鮮で、ひとりわくわくの連続。


今までたくさんの写真を撮ってきた。

いろんな一瞬、風景を世界から切り取ってきた僕だけども、ここでは"みんなで作り上げる1枚"という体験をした。

子供みたいに頭を柔らかくして、笑いながら真剣に、面白い事だけを考える。その成果をご覧あれ。

ただ人が集まれば出来る事じゃない。

お互いがいい関係になってるからこそ、撮影する過程から楽しめているからこそ、いきいきとした写真になる。



いろんな種類があるタジン鍋。

みんなでいるとおいしい料理は黙々と食べて、まずい料理は笑いと思い出になる。

食事の感想の共有はしかり、自分たちで日本食が恋しくなってシェア飯を作ったりも出来る。

それが、みんなといると楽しいところ。



こんな風に、旅の最後の国で僕はこれまでの自分の旅と違ったスタイルをめいいっぱい楽しんだ。

辛くも寂しくもなるけれども"ひとりの時間"を大切にしたのは、本当に僕を強くしてくれた。

今の自信を持った自分がいるのは、確実にその時間の中から作り上げたという自負もある。

でもその間に、確かに選べなかった機会があった。

これまでの旅の途中に、"もっとこの人と一緒に旅したい"という気持ちがあったように。

それの埋め合わせか、偶然にここに集った仲間で、最高に笑った時間を過ごした。

ここまで長く旅してきたけど、まだ旅を好きになれました。

出会ってくれたみんな、本当にありがとう。



人間はひとりで生きる事は出来ない。でも、大人になると独り立ちを求められる。

そして、心のよりどころを求めてふたりになる、子供も出来て、家族になる。

社会や親に依存して生きる幼少の年代。

勉強やスポーツ、様々な事を経験して、自分を確立しようと成長していく年代。

自立する事に余裕が出来て、誰かを支えられる余裕がある年代。

年齢によって変わる旅もあれば、旅にも人生のような年代がある。

それぞれ異なった旅の背景や年代を持つ旅人が出会って、影響し合って、化学反応を起こす。


でも実はそれは、旅に限った事ではない。

日本社会にいても、いま自分が所属している小さなコミュニティの中にもその機会はある。

"何をするかとおなじくらい、誰と一緒に働くか"が重要なのはそういう事だと思う。

僕は素晴らしい環境で、素晴らしい出会いに、素晴らしい先輩に囲まれて今がある。

お互いが意見を持って、響き合って成長させてもらってきた。

でも、僕の発する音はまだまだ小さくて弱々しかった。

もっと僕の発する音を大きく出来れば、きっともっともっと響き合って僕も周囲も成長出来るはず。

そう思って、ひとつの手段として"世界一周"を選んだんだ。

それももう終わりにきている。僕はまだ至らなくても確実に強くなれた。

日本に帰ってからは、自分を高めつつも、僕の周りともっと響き合っていけるように生きていく。

みなさん、帰国後の僕もどうかよろしくお願いいたします。


今日も読んでいただいてありがとうございました。
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