2014年2月13日木曜日

これから旅立つあなたに持って行って欲しい考え方。| HISに寄稿しました。

こんにちは。
法政大学法学部政治学科3年市川潤一です。
僕が、世界一周を決めたのは大学1年時の冬。
そこから1年の準備期間を経て、2012年フィリピン留学後に世界一周の旅へ出ました。
大学にもろくに行かず、普通の学生よりダメな日常を送っていた自分が、「世界一周」という目標を掲げてから今にいたるまでにどう「変わった」のか、また「旅で考えたこと」をまとめてみます。気持ちにもやもやを抱えている学生の背中を押せれば嬉しいなと思います。

1:平々凡々な学生生活から、旅へ

バイト先のコンビニ、居酒屋の中、友達の家、彼女の家、サッカーサークルの練習、買い物、これらが僕の日常の行動範囲。そこから見える景色で当時の「僕の人生」は作られていた。その生活を楽しむ価値観を否定するつもりはないが、僕は自分の気持ちがその生活に満足していない事を知っていた。
いま自分はどこにいて、何をしているのか?立ち止まって考えてみて欲しい。
そして、もっともっと行動の幅を広げてみたくはならないだろうか。

2:自分の人生に責任を持つ覚悟ができる

大学を休学して世界一周の旅に出るこ決断は、間違いなく人生にとって大きいこと。
それは、日本の社会が作ってくれたレールから外れること。
他の人と違うことをするには、それなりのしんどさがついてくる。
それを踏まえた上での「世界一周」の決断は、自分という船の舵を強く握ることだと思う。自分の進むべき方向をしっかり持っている旅人との話は魅力的で、お互いの考えをぶつけた時間はいい学びの機会だった。
ダハブ
モロッコで29歳の日本人の旅人の方と出会う機会があった。社会人を経験し、仕事では部下も持った。
家庭もあった。でも、その人はそれを全部捨てて旅に出ていた。「身勝手」そんな言葉がその時の僕の頭をよぎったのは覚えているが、話を聞くと、その人の生き方はカッコよかった。
「ゼロから挑戦したかった。仕事と家庭、ある程度その後の人生が予想出来たとき、積み上げたものの上に座るのが嫌で、もっと人生を楽しみたい」そう思ったからだそうだ。その人に言われた言葉がある。「学生には帰るとこがある。社会に出た後の旅はもっとしんどいぞ。」と教えのような喝をいれられた。僕らは、学生であることを思う存分に利用してやるまでだ。

3:旅している間だけ、別の自分の人生を経験できる

僕の個人的な考えだけど、「自分が旅している間の時間」を「ひとつの人生」と見ることが出来ると思っている。
旅を始めた時が生まれた時で、旅を終える時が死ぬ時。旅の寿命は、学生の場合ほとんどが1年に満たない。
旅での期間を「ひとつの人生」として考えた時に、どんなシナリオを思い描いて、どんな生き方をしているのか。そして、その人生は自分で心躍るものだろうか?
旅先では自分のバックグラウンドに縛られない。嫌な自分を捨ててキャラを変えることも、ありのままの自分をさらに主張して過ごすことも出来る。世界を旅して、いろんな場所の、いろんな生き方を知って、僕はどう生きようか。
dahab
エジプトのダハブという、日本人旅行者に人気のダイビングスポットがある。遠浅の海に広がる色とりどりの珊瑚礁、雨の降らない気持ちのよい気候で、ソファに横になり、中東のシーシャを吸う。こんな環境下で、ゆっくり過ごす生き方もある。スーツに身を固めて、忙しい雰囲気な社会で生きることだけが選択肢ではないんだと肌で感じた。
NY地下鉄
旅の終盤、ニューヨークの地下鉄電車で見かけた1枚のポスター。
「人種のるつぼ」と言われるニューヨークを優しく表現したポスターだ。
そこには、僕が世界を旅して出会ってきた人たちがいた。日本から飛び出して、異なる文化、異なる環境に身を置いて、このひとたちともっと近くで一緒に働いたり、生活するような生き方だってあるんだ。

4:やりたいことをやる習慣をつければ、踏み出す一歩は自然についてくる

世界一周を経験したひとがよく口にする、「一歩踏み出すハードルが下がる、挑戦したくなる」というのは僕も強く実感している。
それはなぜだろう、と考えてみた。
きっと旅中の自由な時間の中で「やりたいことをやる」という意志決定と行動を何度も何度も繰り返して「習慣」にしたからだと思う。
例えばそれは「行きたい場所を選ぶ」ことでも積み重ねれる。
僕は旅を終えた後の日常で、気づいた時には「やりたいこと」の中にいると感じる。
その環境での大変さや失敗があっても苦ではない。長い目で見て、いい経験に変わると信じられるから。
サフランボル
トルコにサフランボルというあまり知られていない小さな世界遺産の街がある。
トルコに着いてから知ったこの街を訪れる予定は当初なかったけど、この街で作られているお菓子に興味を持って訪れることを決めた。
そこで自分の想像以上の景色に出会えた。木枠づくりの家々が美しく、トルコだということを忘れさせられた。

5:自分の人生を豊かにするために「伏線」を仕掛ける

僕はマンガとかのストーリーを面白くする要素が「伏線」だと思っている。
過去に起こった出来事が思いもよらぬ場面で現在や未来につながった時の驚きやワクワク、涙といった感情の揺れ。その「感情の揺れ」をどれだけ感じられるかが、僕のなかで「人生を楽しんでいるかどうか」の基準になっている。意図的に、自分の知らぬ間に「伏線」を仕掛けて、将来の人生の「楽しみ」を増やす。
スウェーデン夫婦
スウェーデンには僕の人生の「伏線」が詰まっている。世界一周前に日本語学校で出会って仲良くしていた友達がいたり、大学でスウェーデンの政治に関して学んでいたり何かと縁があった。いいことばかりではない。 友達との再会で安心した次の日には盗難にあい、財布とパスポートを失った。その時、友達とその家族がいたおかげで路頭に迷わず、暖かい家でもてなしてもらえた。日本での彼との出会いがなかったら、僕はスウェーデンでどうなっていただろうか。世界一周の旅は達成出来なかった。。。新年をストックホルムで迎え、ホームパーティーに招いてもらってたくさんの友達を作ってきた。将来への伏線。彼やスウェーデンとは「一生の付き合い」にしていくと決めている。

6:日本の日常に、旅の感覚を持ち込む

海外を旅して、海外で働きたいと思うひと、日本が好きで日本で働きたいと思うひと、それぞれ。僕の場合は後者で、自分が将来勝負する場所は日本だと決めている。ただ日本の日常に浸って疲れを受け身で感じてしまっている時に、「旅している頃の感覚」を思い出したい。
旅の感覚を持ち込む
日常のタスクに追われて、音楽も聴かない。昨日食べたものも思い出せない。SNSを見ながら食事をしたら味も感じていない。たまに、そんな日常が怖くなる。旅している間はその地の独特な花の香りや街の匂い、味わったことのない食べ物、聞いたことないリズムの音楽、そこで暮らす人たちの生活に興味を広げて、感じたことを五感で楽しんでいた。その感覚を思い出したくなるから僕はまた旅に出るのだと思う。

7:最後に

旅をすることで「生きるのがうまくなる」と思う。旅で大事なことは、結局は人生に大事なものなんだ。
それを旅中に痛い程思い知らされた。ここまで旅に出ること、旅に出てからのことを述べてきたけど、最後に旅に出ることを決めるのは自分の気持ち。「人生を変えたい」と思って僕は旅に出た。
もしこの文章を読んで気持ちのどこかにワクワクを見つけたのなら、ぜひ一歩踏み出して欲しいと思います。

世界一周を終えて、インタビューを受けました。

「旅の醍醐味は人」とよく言われるが、実際にそのような旅をするのは難しい。
今回紹介するのは、現地の人の優しさに触れ、旅によって心を揺さぶられた人だ。人との繋がりについて彼から話を聞いて、どうしてそのような旅が出来たのかを考えてみる。

旅の中で様々な人と出逢ったと思います。
その中で最も印象的だった人について教えてください。

1番覚えているのは、インドで出逢った夫婦です。
とある夜、電車の駅に向かうためにバスに乗っていました。だけど洪水で道が悪く、進めなくなっちゃったんです。とにかく時間が無くて焦っていたら、同じバスに乗っていたインド人夫婦が「駅まで歩けば20分くらい」と教えてくれました。その時間を聞いた僕は、バスを降りて、洪水の中を駅まで歩くと決めました。とは言っても右も左も分からない状況で、さらに水位は膝の高さまであって。どうしようと思った次の瞬間、先ほど時間を教えてくれた夫婦がバスから降りてきてくれて、洪水の中、駅までの道案内をしてくれたんです。
必死になってしばらく歩くと、目の前には大きな川。「電車の駅はこの川の向こう側にある」と教えてくれました。だけど桟橋からは、最後の定期船が岸から少しずつ離れていくのが見えました。しかもその船は、まるでタイタニックの救命船みたいに満員の状態。道案内してくれた夫婦は「船に飛び込め!」って僕の背中を押します。バックパックを背負った僕は「無理、無理」と言いながらもジャンプして飛び乗りました。ほっとして後ろを振り向ってみると、ただ手を振って見送ってくれた2人がいました。
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そのときどう思いましたか。

定期船に乗ってからも、その2人のことで頭がいっぱいで。「自分を見送ってくれた後、どうしたんだろう」「どうして自分を犠牲にしてまで、見ず知らずの異国人の僕に優しくしてくれたのだろう」って。
自分の想像を超えた夫婦の優しさに、とにかく衝撃を受けました。
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現地の人と繋がれるコツってありますか。

カウチサーフィンはお勧めですよ。カウチサーフィンは、現地の人と旅人を繋ぐwebサービスで、旅人が現地の人の家に泊まったり、ご飯を一緒に食べたりできるんです。僕はイスラエル、オーストリア、スウェーデンの3カ国で利用しました。ちなみにその国でホストしてもらった人って、実はもともと日本で会っていたんです。彼らが日本を旅しに訪れた時、僕が家に招待して、ご飯を作って、僕なりにもてなしました。だからカウチサーフィンは、通常なら「初めまして」だけど、僕は「再会」。日本で会った人と今度は海外で再開するのは、すごく感動的で、同時に安心感に包まれましたね。

日本で会った人と、今度は外国で会うって凄いですよね。
再会して良かったと思うことってありますか。

そう強く思ったのはスウェーデンでの滞在の時です。
首都ストックホルムに滞在した昨年末の12月29日、ケバブ屋で盗難にあいました。中には財布やクレジットカード、そしてパスポート。「世界一周なんて簡単にできる」と旅をバカにしていた僕は、「もう旅が続けられない」という事実が受け入れきれなくて、頭が真っ白になりました。だけどその後、この事件は奇跡的にスピード解決しました。盗難にあったけど、カウチサーフィンでの現地の友達が協力してくれたから独りではなくて。温かい家にも泊まれたし、たくさんの良い人との出逢いがあったので、スウェーデンは僕にとって大切な国です。こうやって笑い話で済ませられるのも、現地の人、友達に助けられたからこそです。
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人との出逢いを大切にする旅をして、何か変化はありましたか。

世界一周中に「自分のやりたいこと」に対する「気づき」がありました。
それは「言葉で人の心を動かすこと」が好き。
「いろんなものの魅力を知って、考えて、伝える事」が好きだと言うこと。
旅の中でブログを通して言葉を紡ぐうちに、出会った旅人に「君のブログ好きだよ」と言ってもらえたのがきっかけな気がします。

帰国してから、何をしていますか。何を考えていますか。

帰国して、自分のやりたいことをすぐに行動に移しました。6ヶ月間のコピーライター講座に通って、それから仲間とCMを作りました。
自分の思い通りの人生にするために、自分の意志を大事にしています。
そう出来るようになったのは、旅のおかげです。旅は、自分で考えて行動していくものだから。
選択と集中・目標の設定・試行錯誤ー。
“僕は、旅を通して、生きるのが上手くなりました。”
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▼市川潤一
秋田県能代市出身。
現在、法政大学法学部政治学科在籍中。
2012年8月から6ヶ月間、フィリピン留学を経て世界一周。
好奇心と自分のやりたいを老い続けた結果、秋田の田舎から世界へ飛び出した。
世界を旅して感じた気づきを、日々ブログにまとめる。
趣味は写真に、フリスビーのスフリースタイル。
TABIPPO2014in東京では副代表を務める。
@junsora211

●インタビューワーの視点から。

「旅では良い人に恵まれた」と言っていた。だけどそれは、単に運が良かったのではなく、本人が良い人を惹き付けているからではー。そう思えたのは、彼がつくったCMを見て。人を良く見ているからこそ、「人の繋がり」に感受性が高いからこそ。後半に映る楽しそうなバックパッカーが、彼に重なるような気がした。


渋谷ってにぎやかだけど、ひとりで歩くと少し寂しい気分になる時がある。
きっとそれは、人の多さが逆に「人との繋がりの薄さ」を感じさせるからだと思ったんです。
それに対比させて、渋谷から歩いてすぐの代々木公園は年齢や国籍を越えて、
訪れた人が思い思いに「楽しむ」雰囲気が、新たに「人との繋がり」を生み出す場所として
あるということを表現してみたつもりです。